2009年11月08日

モデリング






郷導を用いざる者は、地の利を得ること能わず 
 


   
(きょうどうをもちいざるものは、ちのりをえることあたわず)


           
                        
from 「孫子」




兵書「孫子」九地篇の一節。


私訳すれば、


「未知の、あるいは慣れない仕事をする場合は、その仕事に詳しい人を案内人(郷導)とすべきである。さもなくば、仕事で利益を上げるには膨大な時間・労力がかかってしまう。」
  


企業が新規事業に参入する際、その領域に詳しいコンサルタントを案内人(郷導)として契約することはよくあること。



ならば、個々人のビジネスパーソンはどうか。


基本は、その領域における優れた人から「学ぶ=真似(まね)ぶ」ことですね。  

心理学でいう「モデリング学習」。



優れた先輩や上司の仕事を積極的に「真似する」。「盗む」。

これが、基本となりますね。
  

セールストーク、プレゼンテクニック、クレーム処理、時間管理術、名刺管理術、ノートの活用法、あるいはストレス発散法などなど…


優れた上司や先輩の「術」を要領よくモデリング(真似る)することが、孫子のいう「郷導を用いる」に当てはまります。


後は、進化の基本である「守・破・離」、つまり、自分の工夫を加えて、「真似」の域から「らしさ」の域へと進む。



大切なことは、モデリングすべき優れた人(郷導)を探さねばならない…ということですね。

ここが、ポイントでしょうね。



出来るビジネスマンとは、モデリング上手な人と言えそうです。


晴れ
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2009年11月03日

人生意気に感ず





人生意気に感ず、功名誰かまた論ぜん

(唐詩選)


 
(じんせい、いきにかんず、こうみょう、たれかまたろんぜん)

   


人生、「この人の為に」「この仕事のために」「世の中の為に」…と、燃える何かに意気を感じることが出来れば最高さ!
地位名誉財産などは問題にならないくらい、燃える何かに打ち込めれば最高なのだ!(拡大的勝手私訳/笑)


人間は損得勘定で動くものだ。これ人情。
 

しかし…
   

例えば、仕事を引退する歳になって、仕事人生を振り返ってみたとき…損得勘定ばかりの処世スタイルだったとするならば、その仕事人生はちょいと味気ないのではないか。


「人生意気に感ず!」というくらい、【感激性】のある燃える何かに打ち込んで行きたいですね。


パンチ
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2009年10月23日

兵は拙速を聞くも、いまだ巧久なるを睹ず(孫子に学ぶ拙速型勝利の秘訣)





兵は拙速を聞くも、いまだ巧久なるを睹ず 
 


  
(へいは、せっそくをきくも、いまだ、こうきゅうなるをみず)


           
                            
from 「孫子」




兵書「孫子」の中の有名な一節。


私訳すれば、


「 戦いが泥沼のように長引けば、

  結局は消耗していくだけで、

  組織の利益にはつながらないものだ。
    
  戦いとは、短期にて終結させるような

  速やかさが大切である。 」
  



武田信玄は、天下取りの野望を抱いていたが、上杉謙信との泥沼の長期にわたる戦いの中で、結局は天下取りレースに出遅れてしまったと言えます。


一方、織田信長は(地の利の要素が大きいですが)、京の都や商業拠点などを速やか(拙速)に手中にして、実力では武田信玄に負けていたと思われますが、天下取りレースのライバルたちに一歩も二歩も先んじたポジションを獲得していました。 



世界を震撼させた日露戦争の勝利なども「拙速」を重んじた結果であることは多くの識者が指摘するところです。



ビジネスにおいてはどうか?


「レバレッジ・シリーズ」で有名な本田直之さんの次の言葉が孫子の言葉を代弁してくれている。


“効率が悪く、成果が上がらず時間がかかってしまうことの原因の一つは、ポイントがずれていることにあります。ずれたことを必死にやっていても成果にはつながりません。成功へのカギを握る要素=KSF(キー・サクセス・ファクター)を見極める能力が必要なのです。

   (中略)

KSFに時間と労力をかけることで、「作業」よりも「結果」に集中でき、より大きな成果を上げることができるようになるのです。”
    
        
(本田直之著/レバレッジ・シンキング/東洋経済新報社より)
 




KSF(キー・サクセス・ファクター)を如何に見極めるか?


それは、自分(御社)を中心に据えて、様々なファクターをリンクさせた相関関係図を描いていく中から浮かび上がってくるものだと思います。



どこに自分(御社)の資源(時間や労力)を投下させていくべきか…

その答えが、KSF(キー・サクセス・ファクター)。


つまり、

優先すべきポイントはどこなのか?

誰なのか?

どこの会社なのか?

いつなのか?

どの情報なのか?

どの商品なのか?

どのターゲットなのか?

どういうスキルなのか?

どういう経験なのか?

有益な成功事例はどれか?

誰に聞けばいいのか?

誰を納得させればいいのか?


などなど…



「拙速型勝利」を得るためには、まずは「KSF」を掴んでおく必要がありますね。 
  

   
※引用文献
 「孫子」(岩波文庫)   
 「レバレッジ・シンキング」(本田直之/東洋経済新報社)

パンチ
posted by 「ビジネスマン兵法」発行人 at 12:22| ■ビジネスマン兵法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月22日

知識を活かす




知の難きに非ず、知に処するは則ち難し

(韓非子)


  
(ちのかたきにあらず、ちにしょするは、すなわちかたし)


   

知識を得るということはそう難しいことではない。得た知識をどう活かしていくかが難しいのだ。(私訳)

これもとてもリアルな指摘ですね。
   

知識を活かすためにもまた知識が必要だろう。
 
知識×知識×知識×……もちろんここに行動力や他者の知識などが、掛け合わされて、面白い複合技が誕生することもあろう。

いずれにせよ、学んだことを活かすという「活学」の姿勢が大切です。   

パンチ
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2009年10月04日

韓非子に学ぶ従業員満足とお客様満足



安利はこれに就き、

危害はこれを去る。

これ人の情なり。 
  


(あんりはこれにつき、きがいはこれをさる。これひとのじょうなり。)

           
                            
from 「韓非子」




今回は、兵書ではありませんが、リアルすぎる古典「韓非子」(かんびし)より。


私訳すれば、


「人間というものは、安全であり、利益があるところに寄るものだ。  ここは危険で害があるぞと判断すれば、そこから去っていく。
 これは、人情だ。」
  


心理学者のマズローの欲求5段階においても第2段階に「安全欲求」が位置づけられていることを例に出すまでもなく、韓非子の指摘は、あまりにもリアルに的を得ていますね。


P.F.ドラッカーは、

「組織がますます知識労働者の組織となっていくにつれ、組織を離れ、他の組織へ移ることは容易になっていく。

したがって組織は、そのもっとも基本的な資源、すなわち能力ある知識労働者を求めてたがいに激しく競争するようになる。」 

と、喝破した。


つまり、知識労働者ほど“組織に依存しなくなる”…そういう社会が到来すると…いや、すでに到来していることは周知のことですね。
  

企業という組織体を率いる人間の宿命のひとつに


“いかに魅力ある組織を構築し、それを示すことが出来るのか”



ということが大きく浮上している。

  
いまや、組織の将来性といった「安全」(韓非子の言う「安」)だけでなく、働く者が「成長感」や「貢献感」を実感(韓非子の言う「利」)できる組織に人は流動していく…「安利はこれに就き」である。



また、韓非子の言葉は、消費者心理を代弁していますね。
たとえば、冷凍餃子問題が起きた後の、消費者の行動などなど…分かりやすい例です。



企業は、「安」と「利」をもって、外側(お客様満足)・内側(従業員満足)という双方の満足を創造しなければらならいということですね。  


   
※引用文献
 「韓非子」(角川ソフィア文庫)   
 「プロフェッショナルの条件」(ドラッカー/ダイヤモンド社)

パンチ
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2009年10月02日

荘子が語るストレス解消法




 
坐忘
 

(荘子)


  
(ざぼう)


   

ときどき、ゆったりと坐し、深い呼吸を行ない、リラックス!

名僧のように胸中から雑念全てを忘れる…なんてことは出来ないが、仕事のことなど忘れ、ぼぉ〜とする時間は大切です。

座しても良し、横になるのもまた良し…ですね。

忘の徳なり。

ぴかぴか(新しい)
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2009年09月16日

勝つ極意





勝つべき者は攻なり 
 


        
( かつべきものは、こうなり )

           
                             
 from 「孫子」




私訳すれば、


「勝つためには、“攻め”の姿勢が大切である。」
  



「当たり前やないか!」と一蹴されそうですが…

業界の状況によっては、“攻め”より“守り”に専念してしまうのもまた、自然な流れでしょう。


例えば、行政においては、「第二の夕張になってはいかん」という空気により、削減、削減…という“守り”を加速させるのも自然な流れと言えそうです。

  

が、



日本海に浮かぶ離島・海士(あま)町(島根県)の町長さんが言われた



【 町が生き延びるだけなら“守り”でよいが、

          生き残るには“攻め”が必要である 】


もまた明快かつ健全な姿勢ですね。

実際、この島では“守り”で浮かした経費を産業振興(島を丸ごとブランド化戦略)という「未来への投資」(“攻め”)へ振り向け、地域ブランド戦略が着々と進行中とのことです。

  


明治時代、愛知県の農家に生まれた蟹江一太郎。兵役を終え、当時のニッチであった西洋野菜(キャベツ、パセリ、トマト、白菜など)の栽培を始め、市場に売り出した。当時としては、珍しい野菜ばかりであったが、徐々に消費者に受け入れられ、よく売れるようになった。まさに“攻め”の農家である。


が、



トマトだけはダメだった。いつも売れ残る。



が、



一太郎は“攻め”の農家である。

  

「なんとかならんか…」



まずは、情報収集。



「どうやら、西洋では、トマトを加工してソース、ケチャップ、ピューレにして売っているらしい…」



ならば、技術の収集。



当時、名古屋で唯一の洋式ホテルだった名古屋ホテルからトマトソースを少し分けてもらった。



とくれば、技術の習得。



自宅にて家族で研究・工夫を重ね、トマトソースを完成させた。



これが評判に! 本格的なトマト加工へ進出! 



“攻め”の農家が、今日の「カゴメ」を築き上げたのである。

   



【 ステージを変える際には、加速力が必要である 】 (齋藤孝)

  
加速力とは、“攻め”の姿勢に他ならない。


  

※引用文献
 「孫子」(岩波文庫)   
 「加速力で成功をつかめ!」(齋藤孝著/草思社)
posted by 「ビジネスマン兵法」発行人 at 23:00| ■ビジネスマン兵法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする